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続「田舎暮らしもほどほどに:大長谷週末寄寓人」 平日限定嫁綴り。 週末はのどかな山村・大長谷のクラインガルテンにて帰農し,平日は立山仰ぐ富山にで過ごす。      二重生活を送る一家のヨメが綴る,有閑かつエキサイティングな日々。
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「夕方の三十分」黒田三郎

コンロから御飯をおろす
卵を割ってかきまぜる
合間にウィスキーをひと口飲む
折り紙で赤い鶴を折る
ネギを切る
一畳に足りない台所につっ立ったままで
夕方の三十分


僕は腕のいいコックで
酒飲みで
オトーチャマ
小さなユリの御機嫌とりまで
いっぺんにやらなきゃならん
半日他人の家で暮らしたので
小さなユリはいっぺんにいろんなことを言う


「ホンヨンデェ オトーチャマ」
「コノヒモホドイテェ オトーチャマ」
「ココハサミデキッテェ オトーチャマ」
卵焼きをかえそうと
一心不乱のところへ
あわててユリが駆けこんでくる
「オシッコデルノー オトーチャマ」
だんだん僕は不機嫌になってくる


化学調味料をひとさじ
フライパンをひとゆすり
ウィスキーをがぶりとひと口
だんだん小さなユリも不機嫌になってくる
「ハヤクココキッテヨー オトー」
「ハヤクー」


かんしゃくもちのおやじが怒鳴る
「自分でしなさい 自分でェ」
かんしゃくもちの娘がやりかえす
「ヨッパライ グズ ジジイ」
おやじが怒って娘のお尻をたたく
小さなユリが泣く
大きな大きな声で泣く


それから
やがて
しずかで美しい時間が
やってくる
おやじは素直にやさしくなる
小さなユリも素直にやさしくなる
食卓に向かい合ってふたりすわる

-----------

ツイッターはあまり好きになれないけど、詩はやっぱいいなぁ。
文章が短い分、磨かれて並んだ言葉がスゥッと美しい。

いよいよ思考の断捨離をする時期か。
そんでもって、もすこし歳くったら俳句って事になるんかね、とか思いながら、同じく一畳に足りない台所につっ立ったまま、何やら喚き乍ら始終絡みつく幼女を足蹴にしつつ、その壮絶で幸福な眼前の景色を咀嚼する、朝の三十分。

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この詩いいね。おもいっきり日常な詩だ。なんかこころにピンときたわ(^-^)v
くろ 2013年12月06日「Fri」16:47:35 編集
>くろちゃん
人生は日常の集積だもんね、暮らしは詩で一杯だ!
たんこ 2013年12月06日「Fri」17:14:57 編集
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